銃2020

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銃

解説

昨日、私は拳銃を拾った。

全員がクレイジー!?
奥山和由×中村文則×武正晴の再タッグ作品

作家・中村文則のデビュー作「銃」(河出書房新社)の映画化で2018年に公開された『銃』(主演:村上虹郎)。その企画・製作をつとめる奥山和由の着想により、新たな視点で描かれた映画『銃2020』は、中村文則が原案となるオリジナル作品で、中村自身が初めて脚本を担当。『銃』と同様に企画・製作を奥山が務め、「全裸監督」で総監督を務めた武正晴監督がメガホンをとった(脚本も担当)。

登場人物の全員が狂気に満ちている。その人物を演じるキャストたちには、演技派で個性豊かな俳優陣が揃う。
主人公の東子(トオコ)を演じるのは、日南響子。『銃』ではキーマンのトースト女を演じた彼女だが、本作では、銃を拾い、その銃に翻弄される女に挑戦。
銃が引き寄せた縁により東子が出会う謎めいた男を演じるのは、佐藤浩市。
東子を執拗に追い回すストーカー・富田を演じるのは、加藤雅也。
東子を毛嫌いし、精神を病んでいる母・瑞穂を演じるのは、友近。
東子を破滅へと追いつめる刑事に、吹越満。
魅力あるキャストたちが、このぶっ飛んだワールドへ観客たちを誘う。
さらに、『銃』の主演を務めた村上虹郎が、“西川トオル”として1シーンだけ出演、 そのトオルを追い詰める刑事を演じたリリー・フランキーも同じく刑事役として特別出演を果たす。
ほか、山中崇、宇野祥平、篠原ゆき子、内田慈、そして『銃』にも出演していた 岡山天音、サヘル・ローズ、片山萌美、中村ゆうじなども出演。

物語

ドアがあるなら、開けてもいい。
でもどこまで開けるのかは、
少し考えた方がいい。

昨日、私は拳銃を拾った。こんなに奇麗で、不機嫌そうなものを、私は他に知らない。

深夜、東子(日南響子)は自分の後をつけてくる不穏なストーカー・富田(加藤雅也)から逃れるため、薄暗い雑居ビルに入る。
流れ続ける水の音が気になり、トイレに入ると辺りは血に染まり、洗面台の水の中に拳銃が落ちていた。拳銃を拾った東子は、電気が止められ、ゴミに溢れた部屋に一人戻る。 拳銃を確認すると、中には弾丸が四つ入っていた。

自分を毛嫌いし、死んだ弟を溺愛し続ける母・瑞穂(友近)を精神科に見舞った後、東子はこの銃が誰のものだったのかが気になり、再び雑居ビルに行く。そこで見かけた不審な男・和成(佐藤浩市)の後をつけるが、逆に東子は和成に捕まってしまう。

事件が不意に起きる。隣の住人の親子がある男を殺害する。
「早く撃ちたいよね。……これでいい?」
東子は埋めるのを手伝った後、その死体に向かって拳銃を撃つ。

だが拳銃の行方を探す刑事(吹越満)に、東子は追い詰められることになる。「また来る」刑事は去っていくが、何かがおかしい。銃そのものに魅了された東子はさらに事件の真相に巻き込まれ、自らもその渦の中に入っていこうとする。東子の「過去」が暴発する。そして――。